歯ぎしり と くいしばり
こんにちは。
井上歯科クリニック院長の井上です。
最近寒くなってきましたね。寒くなると無意識に歯をグッと噛み合わせてしまう方が多くなってくるようで、
最近では歯に過度の負担がかかり痛くなったり、歯がしみ始めたりする患者様が増えてきています。
あまり放置されますと痛みで口が閉じれなくなってしまったり肩こり・腰痛・頭痛、といったような全身にまで症状が出ることがありますので注意が必要です。
では歯ぎしり、くいしばりとはどのような事を言うんのでしょう?
歯ぎしり:上下の歯を強く噛み合わせてずらすと音がなります。これが歯ぎしりです。
くいしばり:歯を噛みしめたまま、ずらさない場合もあります。ずらさないので音はしませんが、これを無意識のくいしばり(クレンチング)といいます。
歯の痛みや歯の揺れが気になる時、原因は無意識のくいしばり(クレンチング)の疑いがあります。
歯ぎしり、噛みしめは誰でもしている一種のくせと考えてよいと思います。 ですので、特に問題を起こさない限り、放置していても構わないのですが、時々次のような問題を起こすことがありますので注意が必要です。
歯への障害
歯の摩耗・歯の破折・歯がしみる・噛むと痛い・修復歯の破損
歯周組織への障害
歯肉炎・歯周病
顎関節への障害
顎関節痛・開口障害・雑音
全身への障害
顔面痛・頭痛・肩こり・腕のしびれ・腰痛
その他
舌痛症・むちうち症状・倦怠感・難聴・耳鳴り・めまい
これらの症状全てが、歯ぎしり・噛みしめからくるわけではありませんが、無用な悪い癖は無くしておいた方が良いと思います。この癖は眠っている時や、何か夢中になっている時に起こるので気づきにくいし、治すのも同じ理由で治りにくいものです。
クレンチング症候群
聞き慣れない言葉かと思いますが、本人が気づかないでいると歯を失ってしまう原因の一つであるクレンチング症候群。
ストレスによって顎の筋肉が過度に緊張し、歯に強い圧力がかかって起きてしまう症状のことです。
心身にストレスがかかり筋肉が緊張すると、口元の筋肉も引き締まります。 この筋肉の緊張により歯に強い圧力がかかってしまいます。 この歯に対する「長時間の圧力」が習慣になってしまうと、知覚過敏になったり、歯にひびが入ってしまったり、割れてしまったりしてしまいます。
歯と歯を支える骨の間には歯根膜という組織があり、噛む力を受け止めるクッションの様な役割があります。この歯根膜に過度な負担がかかると歯周病が悪化して歯周ポケットが深くなり、歯が揺れてきます。
この力が、骨に伝わって顎関節にかかると顎関節症となり、口が開かなくなったり、顎の関節周囲に痛みを感じたり、クリックと言って顎の開閉時に音がしたりします。また、くいしばる筋肉に痛みが生じることもあります。
自己診断する方法
9項目中、3項目以上該当する方は、クレンチング症候群の可能性があります。
無意識に行っていることを自覚するのは難しいかもしれませんが
本人が自覚していると意識的に気づけるかもしれません。
1:上下の歯の噛み合わせ面が磨耗して平らになっている。
2:下顎の内側に骨の隆起がある
3:上顎の口蓋の中央に骨の隆起がある
4:歯の外側と歯肉の境目に鋭角に削り取られたような傷がある
5:外耳孔(耳の穴)1センチ手前にある、顎関節を指で押すと痛みを感じる
6:顎のエラの部の筋肉が張っていて押したとき、筋肉痛を感じる
7:歯に接する頬の内面に白い線がある
8:舌のふちに歯形の圧痕がついている
9:肩こりがする
心配事があったり、疲労した時など、ストレスを受けた時に歯ぎしりや無意識のくいしばり(クレンチング)が強くなります。
顎関節や全身に症状が波及してしまうとなかなか治療も難しく、また完治することも難しくなります。
当院では、これらの症状の治療法の一つとして噛み合わせの診断や噛み合わせの調整また、ナイトガードの作製などしております。
気になる方はお気楽にお声かけください。